中小企業診断士 2次試験対策 平成28年 事例4 独学者のための過去問実況&解説

こんにちは、りょうたろです。

中小企業診断士試験の本番は2次試験です。
そして、2次試験の本番は事例4だと思います。

事例4は、はっきりとした答えを確定できること。また
得点が安定することからも、合格に必須の分野だと思います。

今回は平成28年 中小企業診断士 事例4 を解いていきたいと思います。

問題は一般社団法人 中小企業診断協会HP からダウンロードしてください。
https://www.j-smeca.jp/attach/test/shikenmondai/2ji2016/d2j2016.pdf

 H28 事例4 過去問題対策

あらすじを整理すると

①D社は、県内産の高級食材を活かして県内外に店舗を展開するレストラン。
②鉄板焼きレストランを県内に4店出店
③創作料理を県内に1店出店、県内の鉄板焼きレストランを1店閉店
④県外の大都市に鉄板焼きレストランを2店舗、創作料理を1店出店
⑤県内店舗の業績は順調
⑥大都市の創作料理店は業績不振
⑦D社は8億円を自己資金と借り入れで調達し、本社社屋を建てる予定
⑧当期に新本社社屋用として市内の用地を購入済み
⑨本社屋には店舗と研修施設が併設される

という感じです。

まずはいつも通り、財務分析を行なう出題です。

第1問 配点25点 財務分析

(1) 前期と比較して、D社の課題を示す主要な財務指標を3つあげて、その値を求めよ。

解き方ポイント
財務指標のポイントは必ずこの3点を注目します。
1. 収益性・・・企業が利益を生み出す力
2. 効率性・・・会社の資産を効率的に利益につなげられているか
3. 安全性・・・資産、自己資本、負債のバランスが適切か
りょうたろ
りょうたろ

基本的に「3つ挙げて」といわれたら、上の観点から1つずつ挙げていきます。

まず収益性としては
・「売上高総利益率、売上高営業利益率、売上高経常利益率」の3択ですが、
ここではそれぞれの値を比較して、営業外費用が多いことからも売上高経常利益率を選びます。
その値は 経常利益*100/売上高(%)=10.11%
因みに、営業外費用は新用地の購入(ポイント⑨)によるものだと思います。

効率性としては「有形固定資産回転率」を挙げると良いでしょう。前期に比べ冬季で増大している特徴的な点を挙げるのが良いでしょう。有形固定資産回転率の単位は回です。一年間の売り上げで有形固定資産が何回消費できるかつまり回転するかを示しています。

安全性としては「流動比率」が良いでしょう、安全性の最もポピュラーな指標の1つである自己資本比率も間違いではないかもしれませんが、今回最も重要なのは流動負債の増大です。それを最もピンポイントで表す流動比率を挙げるのが1番無難でしょう。

(設問2)
設問1で答えた課題が生じた理由について説明せよ。

りょうたろ
りょうたろ

まず絶対に効率性、安全性、収益性の低下というキーワードははずしてはいけません。そしてその理由を、本文中または財務諸表から見いだすと言うのが基本スタンスです。

まず、収益性の低下の理由ですが、本文中にある通り創作料理店の業績不振が挙げられます。
これは、簡単だったと思います。

次に、安全性と効率性の低下について。
短期借入金が大きく、流動負債が増大してますね!

本文中や土地欄からみて、「新社屋建設用の土地の資金借入とそれに伴う支払利息の増加」に気づけるかがポイントです。

答え:新社屋の土地取得や、それに伴う短期資金借入と支払利息の増加、また創作料理店の業績低下により収益性、効率性、安定性が低下した。

第2問-1 キャッシュフロー計算、意思決定会計

まず第1問目は、間接法によるキャッシュフロー計算書の作成プロセスがそのまま出題されている感じです。

りょうたろ
りょうたろ

営業活動によるキャッシュフローを求める上でまずスタート地点は税引き前当期純利益です。

そこからまず、
非資金費用の調整を行います。
資金流出を伴わない費用科目である減価償却費はキャッシュフローを計算する上で足し戻す必要があります。

次に営業利益に修正を行うため、営業外収益は引く、営業外費用は足し戻します。

次に商品の仕入れや債権の買入に関する支出を調整します。

商品を仕入れて売れ残っている場合、収益や費用は発生しませんが、仕入れ分のお金は減ってますよね。その部分の調整です。

債務に関しては、後でお金を返す必要がある=今は手元のお金が増えているということなので、
キャッシュフローにはプラスに働きます。

で、小計以下は利息や法人税によるCFの変化を調整してCF表を完成させます。

何を足して、何を引いてというプラスマイナスに十分注意すれば、内容自体は簡単です。

第2問-2 意思決定会計

設問2 は意思決定会計。ここが勝負の分かれ目ですね。

りょうたろ
りょうたろ

この手の問題は自分の中で解くプロセスを決めておくことが大事です。

意思決定会計の解法
手順1:実際のお金の動きを、時期ごとにまとめる
手順2:最終年度の資産価値を把握する。
手順3:それぞれ現在価値に変換する
手順4:投資実行の是非を決定

基本的はこれだけでOKです。

この問題で考えてみましょう
手順1.お金の動き
0年後:土地の投資 -320
1年後:
建物 -420
器具 -50
2年目-5年目後:なし
6年後: 土地、建物、器具の売却 +? (後で計算)
売却は簿価で行なうとの事なので、簿価の計算が必要ですね。→手順2へ。

手順2. 最終年度の資産価値を把握する。
6年後のそれぞれの当時の資産価値を計算しましょう。

土地:減価償却の対象外のため 320のまま
建物: 420を耐用年数30年で定額償却なので、1年あたり14ずつ資産は目減りします
5年間なので420-70=350
器具:-50
器具は耐用年数10年で定額償却なので、1年あたり5ずつ資産は目減りし、5年間で資産価値は
25 になります。

まとめると
6年後の簿価は
土地 320
建物 350
器具 25 ですね。

りょうたろ
りょうたろ

これは6年後の売却額ということになります。

手順3.それぞれ現在価値に直す。
・0年後の土地購入による投資  -320・・・①
・1年後の建物、器具への投資 現在価値にするため、複利現価係数をかけます。
建物・器具:-470×0.9434= -443.398・・・②

・6年後の土地、建物、器具の売却額を現在価値に
土地:320×0.7050=225.6・・・③
建物・器具:375×0.7050=264.375・・・④

つまり投資によるキャッシュフローの現在価値は①+②+③+④ = -273.423・・・(a)
になります。

次に、税引後キャッシュフローの増加分がそれを上回れば投資を実行することがわかります。毎年の税引き後キャッシュフローをX円としすると、問題文より2年後~6年後の5年分キャッシュインが生じます。

そして、その「*1年後における」価値は、5年間の年金現価係数を参考にして
4.2124 X となります。

りょうたろ
りょうたろ

*年金現価係数の基準となる時間軸に注意!

そして、それを現在の価値に直すためにはさらに1年の複利現価係数をかけるので
0.9434×4.2124X ・・・(b)
となり、これが期待できるキャッシュフローの現在価値となります。

ここで、(b)+(a)≧0となるXを計算すると
0.9434*4.2124X-273.423≧0
X≧68.803・・
小数点以下四捨五入して
答え:69(百万円) となります。

第3問 CVP分析

第3問 CVP分析による問題、これは落とせないですね。

見積損益計算書をもとに、閉店すべきかどうかについて、意思決定する問題です。

売上高 98
変動費 49
限界利益 49
個別固定費 40
共通固定費配賦額 26
営業利益 △17

ここで、意思決定をする上で重要な考え方として貢献利益があります。
貢献利益とは、売上高から変動費と直接固定費を差し引いて求められた利益のことで、
その事業または部門単独での経営状況を判断する指標です。

今回、貢献利益=49-40=9 であり、共通固定費を補填しているため、閉店すべきではない。
という事がわかります。

第4問: その他の論点、CVP分析

(設問1)
業者が運営するネット予約システムの収益や費用のメリット、デメリットを問題文に記載されている通りまとめれば良い。

メリット:営業時間外の受付による予約数増加、検索サイト掲載による宣伝効果
デメリット:予約システムの使用料、店舗の予約管理コスト

例:
ネットへの露出増や営業時間外受付による顧客増で収益が増大する一方、システム使用料と予約管理コストにより費用も増大する。

(設問2)① 自社のネット予約システム導入前の損益分岐点売上高はいくらか。

りょうたろ
りょうたろ

これは確実に正解したいところです。

自社ネット予約システム導入前
売上高: 1,120
変動費* :560
限界利益:560
固定費:430
(うち予約管理費: 12)
経常利益:130
* 売上高に対する送客手数料の
比率は1.8%である。

損益分岐点売上高=固定費/1-変動費率 、本問での変動費率は560/1120=0.5 なので
損益分岐点売上高=430/0.5=860(百万円)・・答

② 自社のネット予約システム導入による損益分岐点売上高の変動額

りょうたろ
りょうたろ

これを正解すると合格にぐっと近づくと思います。

まずは落ちついて、自社システム導入で何が変わるかを各項目ごとにチェックしましょう。

a: 売上高について→変わりません
b: 変動費について
→送客手数料の総額が3分の2に低下
以前の送客手数料は売上の1.8%=1120×1.8%= 20.16だったが、
導入により20.16×2/3=13.44 になった。
つまり新変動費は 553.28
c: 固定費について
c1: 自社のネット予約システム導入による固定費UP
c2: 予約管理費の削減
この2つの面を考慮する必要があります。

c1: 自社システム導入
取得原価20百万円、耐用年数5年、残存価額0 なので、固定費は4百万/年 アップします。

c2: 予約管理費の削減
1/3になると記載があるため、
予約管理費12→新予約管理費4 になります。

つまり新固定費は430+4-8=426 です。

まとめると
新売上高 1120
新変動費 553.28
新固定費 426

よって、新変動費率=553.28/1120 =0.494となり
新損益分岐点売上高=426/(1-0.494)=842(百万円)
元の損益分岐売上は860なので

答え:18(百万円)低下する。となります。

③ 導入前の固定費をもとにしたケースでの、損益分岐点売上高の変動額。
固定費を430にして同様の計算を行なうだけです。

新損益分岐売上額=430/(1-0.494)≒850

答え:10(百万円)低下する。

で良いでしょう。

②ができない人でも③なら正解できるケースがあると思います。

中小企業診断士の問題は一問一問独立している場合も多いので、始めの問題がわからなくてもそのあとの問題は解けることもあるので、最後まであきらめてはいけませんね!