こんにちは、りょうたろです。
中小企業診断士試験の本番は2次試験です。
そして、2次試験は事例4が勝負のカギを握ります。
事例4は、はっきりとした答えを確定できること。また
得点が安定することからも、合格に必須の分野だと思います。
今回は平成27年 中小企業診断士 事例4 を解いていきたいと思います。
問題は一般社団法人 中小企業診断協会HP からダウンロードしてください。
https://www.j-smeca.jp/attach/test/shikenmondai/2ji2016/d2j2016.pdf
【平成27年度過去問】中小企業診断士2次試験事例4
①D社は1950 年創業の金属加工業 を営む企業。
②取引先X社に、カーエアコン取り付け部品セット等の精密部品の製造・販売を開始
③D 社は X 社以外への精密部品の製造・販売も拡大し、技術力も高く評価されている。
④現状では、X社への取引がD 社の売上高全体の7割程度を占めている。
⑤X 社向け以外のz 鋼板を使用した精密部品の受注が増加傾向
⑥同社が有する金属加工 技術を活かした新規事業も一定の需要 が存在
⑦製品ごとの需要変動や 月次ベースでの生産数量の変動が大きく先行き不透明
⑧来期のX社からの受注数量が減少予想
⑨D社の安定的な成長・発展の達成を目指している
という感じです。
まずはいつも通り、財務分析を行なう出題です。
第1問 配点25点
(1) D 社および同業他社の財務諸表を用いて経営分析を行い、D 社が優れていると判断できる財務指標を2つ、課題となる財務指標を1つ挙げて値を求める。
財務指標のポイントは必ずこの3点を注目します。
1. 収益性・・・企業が利益を生み出す力
2. 効率性・・・会社の資産を効率的に利益につなげられているか
3. 安全性・・・資産、自己資本、負債のバランスが適切か
基本的に上の観点から1つずつ挙げていきます。
本問の場合
まず収益性としては
・「売上高総利益率、売上高営業利益率、売上高経常利益率」の3択ですが、
ここではそれぞれの値を比較して、D社が優れている点として、売上高営業利益率を選びます。
その値は 営業利益*100/売上高(%)=2.79%
同業他社は2.5%なので、D社が優れているという指標です。
(売上総利益率でもOKです。)
効率性としては「売上債権回転率」を上げると良いでしょう。売上債権回転率の単位は(回)です。一年間の売り上げで売上債権が何回消費できるか、つまり回転するかを示しています。
売上債権回転率=売上高/売上債権=4.89(回)、同業他社が6.2回なので、効率性が悪いという結果になります。
安全性としては「流動比率」が良いでしょう、安全性の最もポピュラーな指標の1つである自己資本比率も間違いではないかもしれませんが、今回最も重要なのは流動負債の増大です。それを最もピンポイントで表す流動比率を挙げるのが1番無難でしょう。
流動比率=100×流動資産/流動負債=115%、同業他社が248%なので、かなり下回ってますね。
(設問2)
設問1で答えた課題が生じた理由について説明せよ。
まず絶対に効率性、安全性、収益性というキーワードははずしてはいけません。そしてその理由を、本文中または財務諸表から見いだすと言うのが基本スタンスです。
本問の解答の軸は
「D社は同業他社に比べ収益性は高く。安全性と効率性は低い。」
となります。ここを外さなければ点数は安定します。
安全性・・短期借入金が多い
効率性・・売上債権が多い
以上をまとめると、
「高い技術力が評価され収益性は高いが、X社への依存体制もあり、売上債権が多く短期借入金も多いため安全性と効率性は低い。」
が答えになると思います。
第2問.1 )予測損益計算書の穴埋め
まず、設問の内容をまとめます。
・X3期:売上は10%減
・X2期:売上原価の固定費1020, 販管費中の固定費は120。
・第×3 期における固定費と変動費率は第X2 期と同じ
一つ一つ整理します。まず変動費率を決定します。
X2期の売上原価の合計1,770のうち、固定費1020なので、変動費は750。
つまり「売上原価における変動率=750/2,150=0.3488」
販管費の合計320のうち、固定費120なので変動費は200。
つまり「販管費における変動率=200/2,150=0.093」
・X3期の売上はX2売り上げの10%減
→2,150×0.9=1935・・・①
・X3期の売上原価を求めます。
固定費はそのまま1020, 変動費は1935×0.3488=675なので
売上原価は1695・・・②
・X3期の販管費を求めます。
固定費はそのまま120, 変動費は1935×0.093=180なので
販管費は300・・・③
設問2) 予測損益計算書から明らかとなる傾向を40 字以内で、そのような傾向が生じる原因を 60 字以内で述べよ。
(a)明らかとなる傾向:営業損益が赤字に転落する。
これは、素直に答えてよいと思います。ただ少し注意しなければいけないのは「傾向」と言う言葉です。売り上げの1割程度の減少により営業利益が大きく減少した、という論点はあったほうがいいのではないでしょうか。
(b)そのような傾向が生じる原因
まず、「そのような傾向=売り上げが10%下がっただけで、営業益が大幅に減少する傾向」と考えます。
この内容から、「営業レバレッジ」を連想したいところです。
レバレッジとは「てこ」の意味で、売上高が上がった際に利益がどれだけ上がるかをパーセンテージで示したものです。
レバレッジが大きいほどで売上高が少し上がっただけで利益が大幅に上昇しますが、逆に少しの売上高の減少で利益が大きく減少または赤字化することがあります。
そして、その原因として、固定費率が高いのがポイントです。
設問3 は CVP分析です
そして今回は、経常利益ベースでの問題になっていることに注目してください。つまり営業利益に加え、営業外収益と営業外費用も考慮に入れる必要があります。
中小企業診断士試験においては、それらは固定費を含めて計算することが求められます。
続きはまた作成します。
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